猫を飼っていると、愛猫が同じ部位を気にしてグルーミングを繰り返していたり、被毛が抜け落ちたハゲを見つけることがあります。
ですが、必ずしも病気が原因というわけではなく、猫の性格によるものだったり、アレルギーによるものだったりと、その理由は様々です。
今回は、猫の皮膚に関するトラブルの「特徴」や「対処法」についてまとめてみました。
猫がかかりやすい皮膚の病気
皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)
カビの一種である皮膚糸状菌が「被毛」や「皮膚」で増殖することで発症してしまう、猫カビとも呼ばれる皮膚の病気なのですが、
猫カビを持っている猫と接触するだけで感染してしまうので、野良猫はもちろん、完全室内飼いの猫同士でも比較的簡単にうつってしまいます。
まだまだ皮膚の薄い子猫には特に感染しやすく、人に感染してしまうことも珍しくない、厄介な皮膚の病気です。
◆症状
皮膚糸状菌症を発症しても猫が痒みを感じることは少ないようですが、被毛が束になって抜けることが多く、症状が悪化すると皮膚が赤くなったり、カサブタができてしまうこともあります。
愛猫が特定の部位を気にする仕草を繁盛に見ることがあったり、顔などの皮膚の薄い部位に「脱毛」や「皮膚の赤み」が見られるようなら、できるだけ早く獣医さんの診察を受けましょう。
◆治療法
一般的な治療法としては、猫カビの増殖を抑制する抗真菌薬の「投薬」や「塗布」により治療を行いますが、
「猫ベッド」や「おもちゃ」など、愛猫の愛用品の殺菌も必要となります。
◆対処法
飼い主が猫カビを外から室内に持ち込むことで感染することも多いので、帰宅の際は愛猫に触れる前に「手洗い」や「着替え」を心掛けることが大切ですし、外で他の猫に触れた際は特に注意しましょう。
かなり感染力が高い病気なので、多頭飼いの場合は同居猫への感染を防ぐため、隔離が必要となります。
人にうつることもあるので、「強い痒み」や「皮膚の赤み」を感じたら、早目に皮膚科を受診して下さい。
受診の際は、担当医に猫を飼っていることを事前に伝えておけば、診断がスムーズに進みやすいようです。
蚊刺過敏症(ぶんしかびんしょう)
蚊に刺されることが原因で発症してしまう病気です。
◆症状
「耳」や「鼻」の周辺に赤い発疹が出ることが多く、痒みを感じやすいので、特定の部位を気にしたり、しきりに掻くことが増えます。
◆治療法
「炎症」や「痒み」を抑える効果が期待できる、ステロイド系の抗生物質の「投与」や「塗布」が主な治療法です。
◆対処法
蚊に刺されることで発症する病気なので、原因の基となる蚊に対しての対策が最も効果的な対処法となります。
扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)
皮膚であれば何処にでも発症する可能性のある悪性腫瘍なのですが、特に「耳」や「鼻筋」「目の周り」といった顔にできやすいのが特徴の病気です。
◆症状
皮膚に痛みを伴うカサブタのような病変が複数現れることが多く、症状が進んでしまうと「脱毛」や「皮膚の変色」が見られるようになります。
◆治療法
手術による摘出が好ましいのですが、加齢などが原因で猫が手術に耐えられないと判断されたり、手術が難しい部位の場合は、「抗癌剤」や「放射線」による治療を行います。
◆対処法
皮膚が癌化する原因は解明されていないのですが、「白猫」や「色の薄い猫」に発症例が多いため、紫外線による影響が強いと言われており、直射日光を避けることが予防に繋がるようです。
その他にも、「ストレス」や「加齢」などによる免疫力の低下を防ぐことが対処法とされています。
形質細胞性足皮膚炎(けいしつさいぼうせいそくひふえん)
手足の肉球が腫れてしまう皮膚の病気です。
◆症状
発症の初期段階では肉球が腫れ始め、症状が進むと腫瘍ができたり、痛みを伴うようになります。
◆治療法
「抗生剤」や「副腎皮質ホルモン」の投与が主な治療法なのですが、外科手術によって摘出することもあります。
◆対処法
形質細胞性足皮膚炎は原因が解明されておらず、有効な予防法がありません。
しかし、「猫免疫不全ウイルス(FIV)」や「猫白血病ウイルス(FeLV)」の感染が関与している可能性が高いと言われており、予防ワクチンの効果が期待されています。
アレルギー性皮膚疾患
食物アレルギー
食べ物に含まれる成分が原因となるアレルギーですが、主に「タンパク質」や「炭水化物」を身体が有害と感じ取ることで発症します。
成分が蓄積されることで発症するとも言われており、今まで問題なかった食べ物でも突然発症することがあります。
◆症状
皮膚に強い痒みが出ることが多く、「発疹」や「脱毛」によって気付くことも多いのですが、
皮膚の症状以外にも、「下痢」や「嘔吐」といった消化器系の症状が現れることもあります。
◆治療法
アレルギーの原因となる食べ物の接種を防ぐ必要があるので、「アレルゲンの把握」や「食事療法への変更」といった治療を行います。
◆対処法
食物アレルギーは猫の体質による個体差が激しく、予防は困難なため、「早期発見」や「早期治療」が大切です。
愛猫の「皮膚」や「消化器系」の異常に気付いたら、できるだけ早く獣医師などの専門家に相談しましょう。
ノミアレルギー
猫の身体に寄生したノミが血を吸う際に出す唾液にアレルギー反応を起こすことで発症します。
◆症状
ノミの寄生しやすい猫の背中に症状が出ることが多いのですが、激しい痒みの他にも「脱毛」や「カサブタ」「赤いしこり」が発生することがあります。
◆治療法
猫の身体に寄生したノミの駆除が最優先なので、ノミの駆除薬の投与が主な治療法となります。
しかし、猫の痒みが強い場合は、症状の緩和のためにステロイド剤の投与を行うこともあります。
◆対処法
外でノミに寄生されることが多いので、完全室内飼いによる対処が好ましいのですが、
荷物などに付着してるノミが室内に侵入したり、「飼い主」や「お子さん」などの同居人がノミを室内に持ち込む可能性もあるので、定期的なノミの駆除薬の投与で予防することもできます。
アトピー性皮膚炎
「ダニ」や「花粉」「ホコリ」などのアレルゲンを体内に取り込んだり、皮膚に付着することで発症する皮膚の病気です。
◆症状
主に「顔」や「お腹」「内股」「脇の下」といった、皮膚の柔らかく薄い部位に症状が出ることが多く、皮膚の「痒み」や「赤み」「脱毛」などが見られます。
◆治療法
強い痒みを抑えるために「抗ヒスタミン剤」や「ステロイド剤」の投与が一般的ですが、原因の特定が困難なため、根本的な治療が難しいのが現状です。
◆対処法
アレルゲンを減らすことが予防に繋がるので、「室内」や「愛猫の愛用品」を清潔に保つことが大切です。
その他の皮膚トラブル
心因性皮膚疾患
主にストレスの蓄積が原因と言われていますが、「臆病」や「神経質」な猫に発症しやすいと言われています。
◆症状
痒みがでることは少ないのですが、気を静めるために特定の部位をグルーミングし続けることが多いので、極端なグルーミングがハゲを作ったり、毛を噛み切ったり、自分を傷つけたりすることがあります。
◆治療法
ストレスの原因を取り除くことが治療に繋がるのですが、原因の特定が困難なことも多く、愛猫の日頃の「生活環境」や「行動」をつぶさに観察することが大切です。
他の病気の可能性もあるので、長引くようなら専門医の診察を受けましょう。
◆対処法
猫は「引越し」や「家族構成」「同居猫」など、身の回りの環境の変化にストレスを感じやすいので、
愛猫がストレスを溜めないように工夫してあげることが大切です。
あごニキビ
猫のあご下にできる、黒いブツブツを「あごニキビ」と呼んでいます。
◆症状
初期症状はあごに小さい黒いブツブツが見られるだけなのですが、症状が進むと痒みを感じたり、赤みが生じ始め、「脱毛」や「出血」を起こしてしまいます。
◆治療法
あごニキビは「皮脂腺から排出される分泌物の酸化」や「雑菌の繁殖」が原因なのですが、あご下のグルーミングが苦手な猫が多いので、発生率が高いようです。
抗生剤の塗布などが主な治療法になるのですが、エリザベスカラーを装着して患部に触れられなくする必要もあります。
◆対処法
「ノミ取りコームなどを用いたブラッシング」や「湿らしたガーゼなどを用いた洗浄」など、あご下を清潔に保つことが予防に繋がるのですが、
初期のあごニキビなら、それだけで回復することもあります。
スタッドテイル
猫の尻尾の付け根部分が脂でベタベタする症状がスタッドテイルの特徴です。
◆症状
尻尾の付け根にある皮脂腺からのあぶらの過剰分泌が原因なのですが、皮脂腺の発達している若い雄猫に多く、初期の場合はこれと言った症状はありません。
しかし、「脂」や「汚れ」などで毛穴が詰まってしまうと細菌感染に繋がるので、皮膚炎に発展してしまう恐れがあります。
◆治療法
若い雄猫にスタッドテイルの症状が多いことから、男性ホルモンが関係しているとも言われており、去勢することで皮脂腺の分泌が治まることがあるようです。
細菌感染を起こしている場合は、抗生物質の投与が主な治療法となります。
◆対処法
細菌感染を予防するためには、患部である尻尾の付け根を清潔に保つことが大切なので、「患部のシャンプー」や「固まった被毛の刈り取り」が効果的です。
接触による脱毛
首輪などの装飾品による摩擦などが原因で起こる皮膚のトラブルです。
◆症状
首輪などの装飾品による「摩擦」や「アレルギー」などによって、接触部を引っ掻いたりすることが原因となり、「脱毛」や「裂傷」などの症状が現れます。
◆治療法
症状が現れた部位の装飾品を取り除くことで、ほとんどの場合は改善します。
◆対処法
首輪などの装飾品に使われている素材に対して、アレルギー症状を起こしている場合もあるので、装飾品の素材にも気を配ってあげましょう。
「ノミ取り首輪」など、医療品が原因となり得る場合もあります。
子猫や飼い始めの猫は特に注意!ーまとめ
以上のように、猫の皮膚トラブルには様々な原因があります。
特に、「成長途中の子猫」や「外の猫と頻繁に接触している猫」は皮膚病に感染しやすく、これから飼い始める猫が既に皮膚病を患っていることもあるので、注意が必要です。
中には人に感染する皮膚病もありますし、症状が進行してしまうと完治が難しい病気もあるので、早期発見・早期治療を心掛けましょう。
我家の先住猫のハナは内気で臆病だからか、定期的に「後足」や「内股」にハゲを作っています(≧◇≦)
特に、末っ子のチョビを保護した頃は酷いものでした。
その際は、2匹が別々に行動できるように部屋を分けたり、リビングの扉にキャットドアを付けて猫達が自由に行動できるように心掛けたのですが、
その努力が実ったのか、今ではハナがハゲを作ることは少なくなりました(^^♪
猫を飼う環境は、それぞれの家庭によって様々なので、多少の苦労も伴いますが、愛猫との楽しい暮しを末永く続けていくためにも、お互い気を配ってあげましょうね\( ”ω” )/