以前、シニア猫の加齢による特徴についてご紹介しました。
猫も人と同じように、加齢に伴い「身体」や「行動」に変化が現れるのですが、その変化と勘違いしやすいため、気付きにくい病気が幾つかあります。
その病気の一つが「認知症」なのですが、
一般的にシニア犬が認知症を患いやすいことは広く知られている一方で、シニア猫の認知症についてはあまりご存知ない方も多いようです。
その理由の一つとして、犬に比べて猫の方が認知症を患っても日常生活の変化が少ない、という例が挙げられます。
ですが、「もう歳だから・・」と、病気ではなく加齢による変化だと思い込んでしまったら、思わぬところまで症状が進んでしまうかもしれません。
まだまだ解明の進んでいない猫の認知症ですが、
今回は、シニア猫の認知症の「症状」や「予防法」などをご紹介します。
猫の認知症の特徴とは?
加齢によって脳が委縮したり、脳神経が衰えることによって引き起こされる病気で、自律神経の機能低下が影響しているとも言われています。
15歳以上になる飼い猫の半分以上が、何らかの「異常行動」や「障害」をきたしているという研究結果もあるので、
愛猫がシニア期を迎えたら、それまで以上に「身体」や「行動」の変化に注意してあげましょう。
症状
認知症を患った猫は、目の焦点が定まっていなかったり、それまでには見られなかったような奇妙な行動を起こすことが増えるのですが、
その代表例として下記のような行動が挙げられます。
- 夜鳴きをするようになる
- 何事に対しても興味を持たなくなる
- 意味もなく徘徊する
- 粗相をするようになる
- 壁などにぶつかりながら移動する
- 同じ行動を繰り返すようになる
- 寝ている時間が延びる
- 飼い主や家族に対する反応が変わる
- 名前を呼んだ際の反応が弱くなる
原因
猫が認知症になる理由として、主に2つの原因が考えられています。
◆加齢によるもの
加齢によって「脳の委縮」や「脳細胞の減少」が進行するため。
◆ストレスの過度な蓄積によるもの
ストレスを溜めてしまうと脳内で酸化物質の蓄積が進み、その結果、認知症の「発症」や「進行」に大きな影響があると言われています。
予防
まだまだ猫の認知症は解明されていないので、特効薬はありませんが、下記の方法に予防効果があるようです。
◆投薬療法
猫の認知症に効果があるとされるサプリメントが発売されていますが、効果の度合いも様々で、個体差も大きいようです。
なにより、他の薬との相性もあるので、サプリメントの利用をご検討されているなら、事前に獣医さんに相談しておきましょう。
◆食事療法
脳内の酸化物質を減らすことが予防に繋がると考えられているので、抗酸化物質を含んだ食事が効果的と言われています。
抗酸化作用の強い栄養素として、「ビタミンC」や「ビタミンE」「ポリフェノール」などが挙げられますので、これらを多く含んだキャットフードを選んであげましょう。
さらに、「鮭」や「鱒」に多く含まれるアスタキサンチンにも抗酸化作用が期待できるので、「おやつ」や「手作りご飯」に取り入れて、食べ易いように調理方法にも工夫してあげれば、歯の弱ったシニア猫にも食べてもらえると思います。
◆ストレスの軽減
ストレスによる酸化物質の蓄積が認知症の大きな要因と言われているので、愛猫の「生活環境」や「接し方」を改めて見直してあげましょう。
特に愛猫の「夜鳴き」や「粗相」などの問題行動に対しては、つい叱ってしまいがちだと思います。
しかし、猫に怒りをぶつけたところで何の解決にもなりませんし、それこそストレスの根元に他ならないので、闇雲に怒らないように気を付けてあげて下さい。
◆遊びなどで刺激を与える
脳に適度な刺激を与えることが認知症の予防になると言われているので、愛猫が疲れない程度に遊んであげたり、スキンシップをとることも認知症の予防に繋がるでしょう。
認知症と加齢による変化を一緒にしないーまとめ
猫の認知症は個体差が大きく、発症する症状の「種類」や「重症度」もまちまちなので、つい加齢による行動の変化と混同しがちです。
なので、気付いた時にはかなり症状が進んでいることが非常に多く、しかも一度進んでしまった症状が回復することはほとんどありません。
しかし、初期の認知症なら、少しの「予防」や「治療」で進行を遅らせたり、若返ったように元気になるケースも珍しくないようです。
それに、「加齢」や「認知症」とよく似た症状が現れる病気もたくさんあるので、
「少し様子が変だな・・」と感じたら、獣医さんなどの専門家に相談して診察してもらうことが、愛猫に健康で長生きしてもらう秘訣と言えます。
中には、7?8歳で認知症を患ってしまう猫もいるので、愛猫の年齢にかかわらず、認知症の症状が見られたら、できるだけ早い受診を心掛けて下さい。
愛猫に健康で長生きしてもらうためにも、愛猫の「身体」や「行動」の変化に注意して、日頃の生活を見守ってあげましょう。